とちおとめ出荷まで

栃木の農産物のなかでも全国的に知られている「とちおとめ」。鮮やかな赤色と綺麗な形状はもちろんのこと、その甘さとみずみずしさは、数あるイチゴのなかでも特に秀でています。

 
イチゴは、もともと北米東部と南米チリの野生種がオランダで、交雑され、日本には江戸時代末期にもたらされました。
品種は、低温短日で花芽ができる一季成性と、日長に関係なく花芽ができる四季成性とがあり、県内では一季成性のとちおとめが栽培されています。

 

イチゴ農家の山野井さんが住む西方町は、県内有数のイチゴ産地。美味しいイチゴは、収穫できるようになるまで1年がかりです。

3月中旬頃に親株を植えつけます。そのうち親株からは「ランナー」と呼ばれるつるが伸びてきて新しい子苗をつくりはじめ、7月頃に子苗を取ります。ここからが大変。山野井さん宅では、できた苗を日光の戦場が原に移します。

 

これは、「高冷地育苗」といい、標高1200~1400m のところで30~40日間育苗します。 こうすることで、苗を休眠から目覚めさせ、早く花を咲かせることができます。この間、山野井さんは、灌水など苗の世話のために、自宅と日光戦場が原間の往復約 120㎞を2日置きに行ききしたそうです。

 

 

苗が育つまでの間、定植場所の土づくりを行います。少しでも味の良いイチゴを目指して、山野井さんは30年前から土壌改良に取り組み、肥料も有機質のものを使用しています。

戦場が原で育てられた苗は、9月にハウスの中へ定植します。定植作業は、中腰で長時間にわたって行われるため、つらい作業です。一日一人で約2500本、10㌃あたり6500~7000本の苗を植えつけます。

現在は、下葉かき作業の真っ最中です。これは、古い葉を取ることにより株が若返り、新しい芽を出して充実した株を作るために行われています。また、土の乾き具合を見ながら1日1回の灌水も行われています。

 


 

 

11月に入ると親株に1番花が咲きはじめ、さらに葉のつけ根から「腋花」という小さな花芽が出てきます。ここで、元気な花芽だけを残して他は整理してしまいます。また、花芽とともにランナーも出てきますが、これは親株が花芽のない「芽なし株」の時を考えて1本だけ残しておきます。

 

1・2番花は、約10個の花を咲かせますが、3番花位になると親株自体に力が無くなってしまうため、花の数を整理して形や大きさの良いものを残していきます。
このように、いちごの花が咲きはじめると、下葉かきやわき芽の整理などは、収穫量に大きく影響するのでとても重要な作業となってきます。いちごは開花して約40日で収穫となり、来年5月頃まで収穫していきます。

 

外はすこし肌寒いけど、ハウスの中は汗ばむほどの暑さ。現在、ハウス内の温度は日中では約27℃、夜間で7℃位ですが、これから寒くなり日が短くなると、いちごの生育が止まってしまうため、水や温度の管理にはかなり気をつかいます。特に、夜間は5℃以下にならないようウォーターカーテンにより保温します。
またハウス内では、収穫が終わるまで新しく認可がおりた硫黄で熱を加えてガスを発生させ「うどん粉病」の予防をしています。

 


いよいよクリスマスが間近。クリスマスケーキに欠かせないのが真っ赤ないちご。年内の最盛期を迎えたいちごについてです。

 

ケーキに使ういちごの大きさは決まっている・・・最近クリスマスケーキは予約販売が多くなっています。だからお客様にはクリスマスの当日カタログと同じ大きさのいちごが届かなくてはなりません。産地でもクリスマスに合わせてケーキに使われるL(11~15g)、2L(15~25g)サイズのいちごをたくさん出荷できるよう栽培しているのです。

 

今年の冷夏の影響は・・・クリスマス出荷に合わせた栽培では、夏に苗を作り、8月下旬~9月上旬に定植し、11月20日頃から出荷します。今年は夏の日照量が少なかったため、定植したいちごの苗も根の量が少なかったようです。その影響か今出荷を迎えている第1花房のいちごは例年より玉が大きくならない傾向にあります。

 

安定した品質のいちごをお届けするために・・・いちごは大変デリケートな果物。高い温度やちょっとした力ですぐに傷んでしまいます。そこでいちご生産者は収穫から出荷まで細心の注意を払っているのです。

まず収穫時間。気温の低い早朝から始めます。できれば10時前までに終わるよう、遅くとも午前中には終了するようにします。ハウスに電気をつけて4時頃から収穫する人もいるぐらい気温の低い時間の収穫は重要なポイントです。
収穫したいちごはすぐに5℃前後の予冷庫に2時間以上入れて、果実の温度を充分冷やします。そのあと、その日のうちに1つ1つ丁寧にパック詰めされます。ちょっとした押し加減で傷んでしまうので、詰め方にも経験が必要です。きれいにパック詰めされたいちごは再び予冷庫に入れられ、翌日の出荷を待ちます。
「常に温度を低く保つこと」これが品質の安定したいちごをお届けする工夫です。

 


1月のとちぎは晴天続きでいちごの生育も順調です。太陽の恵みをたっぷりと受けて、甘くてジューシーないちごが育っています。糖度を測ってみたら一番甘い先端の部分で16.4度ありました。

今回はいちごのパック詰めについて特集します。

 

山ノ井さんの奥さんはいちご詰め38年の大ベテラン。昭和30年代はダナーという品種が主流でしたが、ダナーは果肉が固かったので、最高3段まで詰めていました。現在のとちおとめは果肉が柔らかいので2段までです。

 

パック詰めはとても難しく、なかなか素人にはできません。

何が難しいかというと、
1.出荷規格が12等級あるので、瞬時にそれを見分けることができない。
2.とちおとめは果肉が柔らかいので、ちょっとした力加減で傷ついたり、つぶれたりしてしまい、指先の力の入れ方が結構難しい。ということです。

 

いちごの鮮度を保つために、パック詰めの前と後で温度管理にも気をつけています。
パック詰めするいちごは3℃の冷蔵庫に2時間以上入れておき、果肉を冷やすことでいちごが痛むのを防いでいます。

 

また、パック詰めした後のいちごは、再び3℃の冷蔵庫に入れられ、出荷までのあいだ充分に冷やされます。
さらにパック詰めの時に帽子をかぶり髪の毛が入らないようにするなど、消費者の安心に応える取り組みも行っています。

 


2月末のハウスの様子です。頂果(1番果)収穫の終盤で、2番果が少しずつ色づき始めていました。1番果から2番果、3番果と収穫が休みなく連続するよう栽培することが、安定した経営に不可欠であり、生産者の工夫のしどころでもあります。

 

前回は収穫後の選果と箱詰めについてお伝えしましたが、今回はいちごの集荷・検査についてです。

 

 

生産者のところでパック・箱詰めされたいちごは、軽トラックなどに乗せられ、産地の集荷場に集められます。すべてのいちごは検査を受けるため、検査ラインに乗せられます。

 

検査は農協の職員に加えてパートさんが行います。消費者の目を持ったパートさんが加わることで客観的な判断と公平性が確保されます。

 

検査のポイントは5つあります。
(1)玉揃い 大きさが揃っているか
(2)ボリューム感 量目が基準を満たしているか
(3)いたみ スレたり、つぶれているものがないか
(4)異物の混入 病虫害果が含まれていないか 
(5)熟度 過熟果や未熟果が含まれていないか

 

 検査で不合格となったいちごパックは検査ラインから抜き取られ、問題のある箇所がわかるように印をつけたうえで生産者に返品されます。

農協の担当者の話では、特に(3)のいたみについて重点的にチェックしているそうです。

検査で合格したいちごは5箱ごとに紐でくくり、冷蔵庫に収納され出荷を待ちます。

 

最近は環境負荷を減らす取り組みとして、コンテナ出荷にも取り組んでいます。従来の段ボールの箱に4パック詰めるのでなく、規格化されたコンテナに20パック詰めて出荷する方法です。

コンテナは生産者が約200円を払いレンタル使用しています。このコストは段ボールよりも割高ですが、1パックあたりに換算すると割安になります。

 


 

4月中旬のハウスの様子です。現在は3番果の収穫です。
いちごの収穫は早朝から午前10時頃まで行います。気温が高い時間帯に収穫したいちごは、果肉が柔らかく痛みやすくなるので、その時間帯は避けるようにしています。

 

今収穫しているいちごは約25日前に咲いた花が実ったもの。気温が高いので早く大きくなります。ちなみに冬の時期は開花から収穫まで倍の日数がかかります。
山ノ井さんは追肥に微量要素を加えるなど土作りに力を入れているので、いちごの実も張りがあって、味もしっかりとしていました。
県内のいちご産地は早いところでは5月上旬で収穫が終了し、6月上旬頃には今期のいちごシーズンが終了します。

 

じつは、収穫と平行して、8~9月に定植する来シーズンの苗を今から準備しています。いちご栽培は収穫期間中から次のいちご栽培に向けての作業が切れ目なく続くのです。

 


とちぎの苺
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